<内容>
平穏な暮らしを求め、東京から七百キロ離れた孤島・青國島に来た元刑事・高洲。“保安官”−司法機関のない島の治安維持が仕事だ。着任初日、老人が転落死した。「島の財産を狙っておるのか」死の前日、彼の遺した言葉が高洲の耳に蘇り・・・(上)
転落死・放火・そして射殺事件。高洲の赴任以来、青國島の平穏な暮らしは一変した。島の「秘密」に近づく高洲の行く手を排他的な島の人間が阻む。村長の井海、アメリカ人医師オットー、高洲に近づく娼婦チナミ・・・真実を知っているのは?(下)
柴田錬三郎賞受賞作
上下巻あわせると900ページに及ぶ作品。
アメリカ統治下にあった孤島。保安官という職務・・・と現実離れした設定で物語は進む。
閉鎖された島ならではの、人間同士の小さな強弱関係や軋轢などが事件の背景に隠されており複雑に絡み合っていく。
主人公高洲が元警視庁捜査一課勤務経験をもち、冷静かつ正確に人間観察ができる存在であることにより、一人称の小説でありながら一人一人の登場人物のイメージを具体的につくりあげることができる。
そういった人間同士のねじれを長編で書き進めた割に、最後の展開は比較的単純。でも、それが現実なのかもしれない。
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