2009年05月21日

カラフル 森絵都 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽の名作ついに登場。

人生はやり直しがきかない。でも、見方を変えることで全然違う世界になる。
そんなピュアであり、王道ともいえるメッセージを、とても豊かな表現力で描いている。
さすが児童文学賞作家!!!中学生にも読みやすいし大人でも退屈しない物語です。
と書きつつ、この間、何度目かの読み返しをしていて感じたこと。
見方を変える事なんて、生まれ変わる位のきっかけがないとなかなかできることじゃない。
今、現実的に出来ること、それはとりあえず受け止めることなのかな、と。
受け止めて、「どうしてそうなるんだろう」って考えてみること。
相手に反発せず、とりあえず共感できるところを探すこと。
その繰り返しをしているうちに、きっと世界が変わっていくのだろうな、と。

カラフル (文春文庫)
カラフル (文春文庫)森 絵都

文藝春秋 2007-09-04
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ニックネーム rieo at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説

2009年05月11日

夜の公園 川上弘美

内容(「BOOK」データベースより)
「申し分のない」夫と、三十五年ローンのマンションに暮らすリリ。このまま一生、こういうふうに過ぎてゆくのかもしれない…。そんなとき、リリは夜の公園で九歳年下の青年に出会う―。寄り添っているのに、届かないのはなぜ。たゆたいながら確かに変わりゆく男女四人の関係を、それぞれの視点が描き出し、恋愛の現実に深く分け入る長篇小説。


こんな経験をいったいどのくらいの人がしているのだろうか。
自分の意志なのか、偶然が偶然をよぶのか、なんだか自分でもよくわからないうちにどこかに流されていく。
常識でも物事の善悪からも離れた何か。だからといって熱い衝動があるわけでもないのに、いつのまにか。
私にはそういった経験があるから、その危うさ・脆さをとても自然な事として描いているこの作品に惹きつけられたというか、癒されたというか。
恋愛小説のようだけど、登場人物は誰も、そんなに深く誰かを愛していない事に気づくと、この物語の中心が見えてくる気がします。
恋愛第一主義、正義感あふれてた頃に読んでも、わからなかったかもしれない。
年、とったなぁ・・・・

夜の公園 (中公文庫)
夜の公園 (中公文庫)川上 弘美

中央公論新社 2009-04
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2009年04月17日

Story Seller 新潮社ストーリーセラー編集部

内容(「BOOK」データベースより)
これぞ「物語」のドリームチーム。日本のエンターテインメント界を代表する7人が、読み切り小説で競演!短編並の長さで読み応えは長編並、という作品がズラリと並びました。まさに永久保存版アンソロジー。どこから読んでも、極上の読書体験が待つことをお約束します。お気に入りの作家から読むも良し、新しい出会いを探すも良し。著作リストも完備して、新規開拓の入門書としても最適。


7人の作家さん、それも日本を代表する今勢いのある作家さん達ばかり。
久々に本多孝好さんの作品が読みたくて手にしたのですが、
一番のお気に入りになったのは、有川浩さんの作品でした。
何かを表現したいっていうのは、人間の奥底にある本能なんだってことを痛感できる作品でした。
ノンフィクションであるかのようにさえ感じられたり。

7人中、私がこれまでに読んだことがあったり知っていたのは4人。
あとの3人は、新たな出会いになったわけですが、有川さんもその一人。
これから、チェックしたい作家さんに加わったわけです。

短編集というよりは、もうちょっと読みごたえのある中編?という感じで
良くも悪くも、その作者さんの特徴がよく出ている作品ばかり。
アンソロジーとはいっても、特にテーマが決まっている感じではないので、
作品ごとに頭を切り換えないと、時々違和感を感じることもありますが、
でも逆に、テーマが絞られていない分
どんな人にも、ひとつはお気に入りが見つかるかもしれませんね。


Story Seller (新潮文庫)
Story Seller (新潮文庫)新潮社ストーリーセラー編集部

新潮社 2009-01-28
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2009年02月11日

セカンドウィンド 川西蘭 ★★★

内容(「BOOK」データベースより について)
溝口洋は、自転車で風の中に躍ることを好むクールな少年だ。中3になろうとするある日、峠道で揃いのウェアに身を包み、ロードバイクに乗る少年たちと出会う。そして、スピードを上げ遠ざかる彼らの背中を見ながら思った。負けたくない―。個性を磨き競い合う少年たちの姿を瑞々しく描く、正統派青春スポーツ小説シリーズ第一弾、書き下ろしで堂々登場。

青春小説です。ロードバイク・・・自転車競技もの。
中学3年生という、微妙な年頃が生む世界が良い感じ。
自分がこれまで生きてきた世界のすぐ隣に、
厳しいプロスポーツの世界がある。
「自分にはこれしかない」というほど、賭ける勇気もなく、
でも、芯から好きだと身体が言ってる。
自分なりに、自分の中で決断できるようで、
外から見ると子どもである自分。

登場人物も個性的なので、ちょっと厚めの文庫ですがすぐ読めます。
それだけに、続刊が出るまでの1年2ヶ月の長かったこと!!!!
第2巻では、高校2年生の洋に会える。
1巻に比べるとインパクトは小さいけれど、
ちゃんと青春小説なところが良い。
スポ根になりきれない、中途半端な感じが
ぎゃくに、洋の迷いなのだと思わせられる。

3巻も出るのだろうか。いつ出るのだろう。また1年待ち?


セカンドウィンド〈1〉 (ピュアフル文庫)
セカンドウィンド〈1〉 (ピュアフル文庫)川西 蘭

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セカンドウィンド〈2〉 (ピュアフル文庫)
セカンドウィンド〈2〉 (ピュアフル文庫)川西 蘭

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2009年02月10日

さくら 西加奈子

出版社 / 著者からの内容紹介
スーパースターのような存在だった兄は、ある事故に巻き込まれ、自殺した。誰もが振り向く超美形の妹は、兄の死後、内に籠もった。母も過食と飲酒に溺れた。僕も実家を離れ東京の大学に入った。あとは、見つけてきたときに尻尾に桜の花びらをつけていたことから「サクラ」となづけられた年老いた犬が一匹だけ ――。そんな一家の灯火が消えてしまいそうな、ある年の暮れのこと。僕は、何かに衝き動かされるように、年末年始を一緒に過ごしたいとせがむ恋人を置き去りにして、実家に帰った。「年末、家に帰ります。おとうさん」。僕の手には、スーパーのチラシの裏の余白に微弱な筆圧で書かれた家出した父からの手紙が握られていた――。

Amazonのレビューを見ても賛否両論な感じなのだけど。
私としては、好きな作品でした。特に後半はじっくりと読みました。

家は、基本的には自分が一番自然体でいられる場所。外での自分を捨てられる場所。
でも、家族はそれぞれに性格も違うし、いろいろな役割を背負ってそこにいる。
やっぱりそこにも秘密が存在してしまう。
そんな一番小さくて濃密なコミュニティの中で起こっていくいろいろな事。
崩壊してしまうかのように思えるけれど・・・
でも、やっぱり完全に崩壊はしないのが、家族なんだろう。
何があっても、人間は前に進んでいく。
自ら命を絶つと言うことすら、前に進む中の一つの選択肢のように感じられる。
・・・と支離滅裂な感想でゴメンナサイ。

読み進めるのに、ちょっと時間がかかるのは
削ぎ落としきれてんだろうな、と感じるけれども。
後半は、しっかりのめり込めますよ。

さくら
さくら西 加奈子

小学館 2005-02
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ニックネーム rieo at 00:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説

2009年01月03日

君に舞い降りる白 関口尚

内容(「BOOK」データベースより)
もう誰も、好きにならない。鉱石店でアルバイトをする大学生の修二は、そう心に決めていた。しかし、店に来る少女・雪衣のことが少しずつ気になり始める。次第に距離を縮めるふたりだったが、彼女は自分の素性を一切話さない。だが、ついに彼女が隠していた秘密を知っていしまう。その時、修二は―。人を深く想うということを描いた、心に響く美しい青春小説。


盛岡という舞台。鉱石店という設定。
緩やかな時の流れと、限られた人間関係の中で、それぞれの登場人物の個性がのびのびと書かれているように感じます。
主人公だけでなく、他の登場人物に興味を持ち、共感しながらも、あまり話がぶれずに読み進められるのは、この設定だからなのではないでしょうか。
誰もがまっすぐに、精一杯生きている。それでも、人生いろんな事があって、悲しいこともたくさんある。
だけどそんな危機に、周りのたくさんの人が、支え励ましあっているのだということが、お説教ではなく、爽やかに感じられます。
なかなかステキな青春小説です。
400ページありますが、中高生も、大人も、気軽に読めると思いますよ。
君に舞い降りる白 (集英社文庫)君に舞い降りる白 (集英社文庫)
関口 尚

集英社 2007-09-20
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