2008年05月26日

アルゼンチンババア よしもとばなな

内容(「BOOK」データベースより)
街はずれの廃屋みたいなビルに住む、変わり者で有名なアルゼンチンババア。母を亡くしてからしばらくして、みつこは自分の父親がアルゼンチンババアとつきあっているという噂を耳にする。思い切ってアルゼンチンビルを訪ねたみつこが目にした、風変わりで愛しい光景。哀しみを乗り越えていっそう輝く命と、真の幸福の姿を描く大傑作。


題名のインパクトが強すぎますよね。
2007年には役所広司さん、鈴木京香さんらの出演で映画化されていたようですが、その時は全く気付きませんでした。

「人間には、いろんな生き方があって、正解も不正解もない。
 他人の尺度で計った幸せは、本当の幸せじゃない。」
言わずもがな、といった感じの「幸福論」なのだろうが、
それがとても活き活きとした文体で、綴られている。
強烈な個性をもつアルゼンチンババアに惹かれる自分の父親。
それを最初は笑い飛ばしつつも、
いつのまにか、その世界に、自分も引き込まれていく。
18歳という年齢の女の子ならではの純粋さが、あちこちにちりばめられている。
奈良美智さんのイラストが、これまたステキ。
文庫本なのに、すっごい得した気分。
4344408357アルゼンチンババア (幻冬舎文庫)
よしもと ばなな

幻冬舎 2006-08
売り上げランキング : 196526

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ニックネーム rieo at 01:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説

2008年05月21日

空を見上げる古い歌を口ずさむ  小路幸也

<内容>
「みんなの顔が"のっぺらぼう"に見えるっていうの。誰が誰なのかもわからなくなったって…」兄さんに、会わなきゃ。二十年前に、兄が言ったんだ。姿を消す前に。「いつかお前の周りで、誰かが"のっぺらぼう"を見るようになったら呼んでほしい」と。第29回メフィスト賞受賞作。

我が子から「人の顔がのっぺらぼうに見える」と言われた父は、兄を探して連絡を取る・・・
そこからして、なんだか変な話だという印象を持ちながら読み進めた。
物語は、その兄が幼少の頃起こった出来事を甥に話す、という形で進行する。
回想シーンでは主人公はまだまだ少年であり、ショッキングな事件も起こっていく。
でも、それを「回想」という形ですすめることで物語は淡々と進み、また昭和の時代の独特な雰囲気も手伝って、ほのぼのとした印象さえ受ける。
ミステリーなのかファンタジーなのか、と他のレビュアーさんも書いているけど、両者を足して2で割る感じなんだと思う。
強烈な印象をもつ作品ではないけれど、味のある作品だと思う。
4062757362空を見上げる古い歌を口ずさむ (講談社文庫 (し80-1))
小路 幸也

講談社 2007-05-15
売り上げランキング : 168452

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ニックネーム rieo at 09:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説

2008年05月12日

古道具中野商店 川上弘美

<内容>
東京近郊の小さな古道具店でアルバイトをする「わたし」。ダメ男感漂う店主・中野さん。きりっと女っぷりのいい姉マサヨさん。わたしと恋仲であるようなないような、むっつり屋のタケオ。どこかあやしい常連たち・・・・・。不器用でスケール小さく、けれど懐の深い人々と、なつかしくもチープな品々。中野商店を舞台に繰り広げられるなんともじれったい恋と世代を超えた友情を・く傑作長編。


以前「神様」という作品を読んで、良いかも、と思った方なのですが。
うーん。うーん。よくわからない感じで終わってしまいました。
独特の世界・・・なんというのかな、ズバッとしていない、ほわほわと漂う感じの文章?・・・はそのままなのですが。
主人公の年齢設定や登場人物の不思議さにそれがかき消されて
「最近のコって、こんな感じなのよねぇ」
で終わってしまいかねないような。
ところどころに、すごく響きの言い文章だったり、他の人では考えつかないような物のたとえだったりがあるので、そういうのを探しながら読むのは楽しいかも。

古道具中野商店 (新潮文庫 か 35-7)古道具中野商店 (新潮文庫 か 35-7)
川上 弘美

新潮社 2008-02
売り上げランキング : 23258

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ニックネーム rieo at 01:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説

2008年05月10日

きいろいゾウ 西 加奈子 

出版社 / 著者からの内容紹介
田舎に暮らす、小さな夫婦の大きな愛の物語

 夫の名は無辜歩(むこ・あゆむ)、妻の名は妻利愛子(つまり・あいこ)。お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う都会からやってきた若夫婦が、田舎暮らしを始める。背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説家のムコは、周囲の生き物(犬、蜘蛛、鳥、花、木など)の声が聞こえてしまう過剰なエネルギーに溢れた明るいツマをやさしく見守っていた。夏から始まった二人の話は、ゆっくりゆっくりとその年の冬まで進んでいき、「ある出来事」を機にムコがツマを残して東京へ向かう。それは背中の大きな鳥に纏わる出来事に導かれてのものだった。


結論がなくても良い作風っていうのがあると思う。
精一杯生きてる人物がいて、その精一杯の日常が綴られているだけでなんとなく心が暖かくなるような。
この作品が、それのような気がしました。
自然のものたちの声が聞こえ、その声ときちんと向き合って、大切にしているツマという人。
お互いに、お互いを失う恐怖を感じ大切にしあうばかりに、大切なことから逃げてしまうムコとツマの夫婦像。
ストーリーをみると、後半部分の複雑な人間模様を描いた部分が妙に浮いてしまっていたり、きいろいゾウがあまり効果的に使われていないかもしれないと感じてしまったり、感動!という感じではないかもしれない。
でも、文章全体から滲み出るその暖かさだけで、十分読み進められます。
読み終わった後、ツマのかけらが、自分の中にも残っている気がして、ちょっと笑顔になれるかも。
きいろいゾウ (小学館文庫 に 17-3)きいろいゾウ (小学館文庫 に 17-3)
西 加奈子

小学館 2008-03-06
売り上げランキング : 3609
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ニックネーム rieo at 00:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説

2008年05月01日

セカンドライフ 藤田宜永

出版社 / 著者からの内容紹介
離婚&リストラ、 でも人生はこれからだ
リストラされ、女房に逃げられた上条真二郎は、なにもやる気がない毎日を向島のマンションで送っていた。ある日、ある日、真二郎は出版社に勤める、大学時代の友人から官能小説を書くことを勧められるが・・・。


またも、書店の「新作!オススメ!」につられて買ってしまう私なのでありました。
とはいえ、自分がまだセカンドライフのことを実感も想像もしていないせいか、さほど感じるところはなく終わってしまった。
「リストラされ女房の離婚願望すら見抜けなかった」という人物像と、この物語の中で見せる主人公の反応が、なんか一つになりきれないんだよなぁ。
・・・経験不足?
ただ主人公だけでなく、いろんな人の生き様が書かれていて、それぞれがそれぞれに輝いているというか、まっすぐであって。
その登場人物を比較しながら「私はどういう風に生きていくんだろう」ということを考えるタネにはなるかも。

セカンドライフ (角川文庫 ふ 1-4)セカンドライフ (角川文庫 ふ 1-4)
藤田 宜永

角川書店 2008-03-25
売り上げランキング : 78109
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ニックネーム rieo at 00:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説

2008年03月18日

ブルータワー 石田衣良 ★★★

出版社 / 著者からの内容紹介
悪性の脳腫瘍で、死を宣告された男が200年後の世界に意識だけスリップした。地表は殺人ウイルスが蔓延し、人々は高さ2キロメートルの塔に閉じこめられ、完璧な階層社会を形成している未来へ。「…この物語は平凡な一人の男が、天を衝く塔を崩壊から救う。『ブルータワー』へようこそ! 夢みる力が決して失われる事のない世界へ」


久々に衣良ワールドを堪能♪

死のウイルスが蔓延して、塔に人間達が閉じこもらざるを得ない200年後の世界。
そして、その世界と現在の世界を行ったり来たりする、癌末期患者という存在。
あり得ない設定なのに、あっというまにその世界に引きずり込まれる。
それは、主人公の設定や心理描写が身近で共感しやすいからなのかもしれない。
私達読み手は一緒に主人公と考え、悩み、苦しみ、決断する存在となっている。
長編ではあるが、あっというまに読み終えてしまった。
読み終えた後には、自分が世界を救ったような充実感。
9.11のテロ問題とか鳥インフルエンザの話とか、そういった時代背景を置いておくとしても、一読すべきだと思う。


ブルータワー (徳間文庫 い 43-4)
ブルータワー (徳間文庫 い 43-4)石田 衣良

徳間書店 2008-03-07
売り上げランキング : 1491

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ニックネーム rieo at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 石田衣良