2010年01月03日

常野物語 蒲公英草子 恩田陸


内容(「BOOK」データベースより)
青い田園が広がる東北の農村の旧家槙村家にあの一族が訪れた。他人の記憶や感情をそのまま受け入れるちから、未来を予知するちから…、不思議な能力を持つという常野一族。槙村家の末娘聡子様とお話相手の峰子の周りには、平和で優しさにあふれた空気が満ちていたが、20世紀という新しい時代が、何かを少しずつ変えていく。今を懸命に生きる人々。懐かしい風景。待望の切なさと感動の長編。

常野物語の第2弾。
「光の帝国」が短編集であったのに対し、こちらは長編。
なので続けて読むと、話の流れのスピードの違いなのか、かなり調子が狂うのでご注意。
「光の帝国」の一番最初に出てきた「しまう」能力を持つ一族が訪れた一つの家の変化を描いた物語。
「しまう」という能力の奥深さやスケールの大きさ
運命を受け入れて生きる人間の力強さが描かれているように思う。
設定は19世紀後半。
時代は流れていくけれど、常野一族は常にそこにあり続ける。
変わるもの、変わらないもの、変えなくちゃいけないこと、変えちゃ行けないこと。
読み終えた後に、考えさせる力があると思う。

蒲公英草紙―常野物語 (集英社文庫)蒲公英草紙―常野物語 (集英社文庫)

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2010年01月02日

光の帝国 恩田陸 ★★★


内容(「BOOK」データベースより)
膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから―「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への思向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか?不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。優しさに満ちた壮大なファンタジーの序章。

不思議な能力を持つのに、驕ることなくひっそりと生活していく人々。
自分の持つ能力、そして使命を受け入れて育っていく子供。
常野の人たちの生き方に、とても惹かれる物語。
連作短編ということで、この1冊の中で絡み合っている物語がわかると、さらに奥深いものを感じました。
その中でも表題にもなっている「光の帝国」は涙無しには読めません。
こんなにひっそりと暮らしているのに、どうしてそういう運命が待ち受けているのか、と。
「常野物語」はこのあと「蒲公英草子」「エンドゲーム」と続いていきます。
読んですぐ、この続編を買いに行きましたが
続編より、この作品が一番感動しました。

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2009年11月14日

扉は閉ざされたまま 石持浅海


内容(「BOOK」データベースより)
大学の同窓会で七人の旧友が館に集まった。“あそこなら完璧な密室をつくることができる…”伏見亮輔は客室で事故を装って後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。自殺説も浮上し、犯行は成功したかにみえた。しかし、碓氷優佳だけは疑問を抱く。開かない扉を前に、息詰まる頭脳戦が始まった…。

冒頭が殺人シーンなので、犯人も犯行の方法も、最初からわかっている。
私達は、発見に至るまでの犯人の焦りに、一緒になってドキドキしながら、読み進めることになる。
頭脳犯の犯人に、皆騙されるなか、勘の鋭い碓氷優佳だけには通用しない。
本来なら、そこで焦るべきであろうが、その2人にしかわからない微妙な関係があるのだ。その関係が、この物語のスパイスになっているように思う。
意外な動機に、若干びっくりするが、それも、この主人公ならあり得るのかなぁという気もする。

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2009年11月07日

一分間だけ 原田マハ

内容(「BOOK」データベースより)
ファッション雑誌編集者の藍は、ある日ゴールデンレトリバーのリラを飼うことになった。恋人の浩介と一緒に育て始めたものの、仕事が生きがいの藍はは、日々の忙しさに翻弄され、何を愛し何に愛されているかを見失っていく…。浩介が去り、残されたリラとの生活に苦痛を感じ始めた頃、リラが癌に侵されてしまう。愛犬との闘病生活のなかで、藍は「本当に大切なもの」に気づきはじめる。“働く女性”と“愛犬”のリアル・ラブストーリー。

犬好き・生き物好きな人には、わかっているけど泣けてしまう一冊。
というより、泣くために読む一冊。
無いものねだりで、心のゆとりのない生活をしているうちに、何が大切なのか、わからなくなってしまう。
失うとわかって、あらためてその大切さを思い知る。
言われなくたってわかっているハズなのに、また同じ間違いをするんだよなぁ・・・
特に優れた文章があったり、奥の深い部分を感じることはありません。
本当に、ベタな物語ではありますが。
時に、そういうベタな感動が欲しくなるとき、ありませんか?

一分間だけ (宝島社文庫)一分間だけ (宝島社文庫)

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2009年10月03日

受験のシンデレラ 和田秀樹 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
五十嵐透は東大合格率9割を誇るミチター・ゼミナールの経営者。「受験界のカリスマ」と呼ばれ富も名声も手にしていたが、ある日親友である大学病院の医師から、がんで余命1年半という宣告を受ける。人生の皮肉なめぐり合せに悩む五十嵐だったが、偶然入ったコンビニで、抜群の計数感覚で店員とやりあう少女を見かける。少女の名前は真紀、経済的な事情で高校中退を余儀なくされた彼女だったが、五十嵐はきらりと光るものを感じ、残りの人生で、彼のあらゆる受験テクニックを駆使して、彼女を東京大学に合格させようとする。現役の精神科医が書いた同名映画のノベライズ。

「高校中退から、東大合格を目指す映画を小説化」したにも関わらず、
「人間って、学歴が全てじゃないよなぁ」って思える作品。
たしかに、最初のほうはかなり無理矢理っぽいし、
読み進めると結論が予想出来てしまうのだけれども。
でも、わかりやすい展開だからこそ、
その中の小さな言葉の一つ一つに重みを感じたり、
自分の思いを重ね合わせたり出来るんじゃないかな、とも思う。

映画自体は見ていないし、見る気もないけれども。
映画だったら、通り過ぎてしまうところも、文章なら立ち止まれるし。

私自身が低学歴なので、
なんとなく、勇気をもらった気がする。

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